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名古屋の会社を強くする労務ブログ
ナズさん
お客様から質問を受けたのですが、入社した社員の社会保険料はどうやって決まるのですか?
ザパトくん
正社員であれば、雇用条件通知書に記載している「総支給額」で決まる。
通勤手当も含めた支給するものすべての合算額で標準報酬月額を決めて、その報酬月額ごごとに保険料が決まっている。
通勤手当も含めた支給するものすべての合算額で標準報酬月額を決めて、その報酬月額ごごとに保険料が決まっている。
ザパトくん
月給制ではないパートさんとかなら、雇用条件通知書に記載されている、所定の勤務日数(週4日等)×勤務時間(1日5時間等)で給与月額を計算して、同様に標準報酬月額を決める。繰り返すけど、通勤手当などあらゆる手当を含めるよ。
ナズさん
なるほど、入社時は分かりました。でも、4月・5月・6月の給与で社会保険料が決まると言われたのですが、それはなぜですか?
ザパトくん
社会保険料は4月・5月・6月の3ヶ月の給与の総支給額の平均で標準報酬月額を再計算して、9月分の保険料から再計算した新しい標準報酬月額で決める。これを「定時決定」と言うよ。
ナズさん
なるほど、4月~6月は残業すると損するよ、というのはこの再計算があるからなのですね。残業手当が増えると標準報酬月額が上がるかもということですね。
ザパトくん
そうだね、年1回保険料を見直すのに、通常は4月から昇給の会社が多いので、こういうルールを決めたのだろうね。
イムちゃん
それなら、昇給月を4-6月ではなく、7月以後にすると保険料が上がりにくくなるのですね?
ザパトくん
必ずしも、そうとは言えない。理由は定時決定以外にも、保険料を改定する機会として「随時改定」がある。
これは文字通り「(給与改定があれば)随時」行うもので、昇給であれ減給であれ、月給も含めた、「毎月の固定手当」が変動すると該当する。
これは文字通り「(給与改定があれば)随時」行うもので、昇給であれ減給であれ、月給も含めた、「毎月の固定手当」が変動すると該当する。
ザパトくん
例えば、お子さんが生まれたことで会社が「家族手当」をつくってくれた場合などが分かりやすいかもしれない。
固定給の改定があった月から4か月目に保険料を再計算するよ。
固定給の改定があった月から4か月目に保険料を再計算するよ。
ザパトくん
例えば、7月に昇給した会社なら7月・8月・給与の総支給額に平均で新たに標準報酬月額を決めて10月からの保険料は、新しい標準報酬月額を基に決まるわけだ。
ナズさん
なるほど、定時決定と同じ3ヶ月の平均で算定するのですね。それ以外の違いはあるのですか?
ザパトくん
定時決定は通常、誰もが対象になり、9月分から保険料は改定される。だけど、随時改定は「2等級以上」の増減がある場合だけに限定される。ここが大きな違いになる。
イムちゃん
2等級?なんだか難しそうですね・・・。

ザパトくん
そんなことないよ。上図の等級が2つ以上、上がるか下がるかだけ、3ヶ月平均で計算した報酬月額がいくらになるかで決まる。
ザパトくん
例えば、3ヶ月平均が24万円だったらその人は19等級になる。改定前の標準報酬月額が20万円だったら17等級から19等級となるので、2等級上がったことになる。
こういうときが随時改定になるわけだ。
こういうときが随時改定になるわけだ。
ナズさん
なるほど、では昇給があっても3ヶ月平均が16等級の額で留まった場合は保険料の改定は起きないのですね?
ザパトくん
そういうことだ。
だから昇給があっても残業時間が減ったとかで、トータルの支給額があまり変わらないようなケースだと、結果的に随時改定に該当しない(1等級内の変動で留まる)こともある。
だから昇給があっても残業時間が減ったとかで、トータルの支給額があまり変わらないようなケースだと、結果的に随時改定に該当しない(1等級内の変動で留まる)こともある。
イムちゃん
つまり、昇給プラス3ヶ月平均で総支給も増えていると、随時改定になる可能性があるということですね。
ザパトくん
そういうこと。
ただし、2020年はコロナウイルスによる休業や、減給となった会社もあるだろうから、昇給ばかりとは限らないから注意。随時改定も定時決定も保険料が下がるケースもあるわけだ。
ただし、2020年はコロナウイルスによる休業や、減給となった会社もあるだろうから、昇給ばかりとは限らないから注意。随時改定も定時決定も保険料が下がるケースもあるわけだ。
ザパトくん
ちなみに、6月1日以後入社の人は、定時決定の対象にはならない。随時改定に該当しない限りは入社時の保険料のまま、翌年8月まで保険料はずっと同じになるわけだ。
ナズさん
保険料決定のルールは分かりました。他に注意することありますか?
ザパトくん
随時改定は、基本給や固定手当の変更があってから3ヶ月の平均で標準報酬月額を再計算する。
つまり、3カ月間は給与の変動があっても保険料は変わらないことになる。
つまり、3カ月間は給与の変動があっても保険料は変わらないことになる。
ナズさん
と、いうことは昇給があっても社会保険料は3ヶ月間変わらないから、手取り額は増える。
逆に減給があった場合は、保険料が安くなるのも3カ月後だから3カ月間の手取り額はかなり減るということですか?
逆に減給があった場合は、保険料が安くなるのも3カ月後だから3カ月間の手取り額はかなり減るということですか?
ザパトくん
そのとおり。ここはお客様にも伝えておきたいポイントだね。昇給時は気にならないけど、減給時は、給与は減るのに保険料はすぐには下がらないというダブルパンチを受けることになる。
これは社員の給与だけでなく役員報酬でも同じ扱いになる。
これは社員の給与だけでなく役員報酬でも同じ扱いになる。
ナズさん
今回のコロナウイルスの影響で、役員報酬を大幅に下げた社長もいますよね。
従業員の給与を下げるような事態であれば、やむを得ないのでしょうけど・・・。そんな事情でも保険料は4ヶ月目にようやく下がるのですね?
従業員の給与を下げるような事態であれば、やむを得ないのでしょうけど・・・。そんな事情でも保険料は4ヶ月目にようやく下がるのですね?
ザパトくん
今回は、標準報酬月額改定の特例が設けられている。
2020年限りの特例ではあるけど、休業などで4月以後の給与が前月の標準報酬月額と比べて2等級以上減額となった場合は、3ヶ月待たずに翌月から保険料が減額となる。
2020年限りの特例ではあるけど、休業などで4月以後の給与が前月の標準報酬月額と比べて2等級以上減額となった場合は、3ヶ月待たずに翌月から保険料が減額となる。
ザパトくん
ただし、これは通常の随時改定との選択制なので、減額されるには会社は、特例を受けるための月額変更届を年金事務所に提出しないといけないので注意。休業していれば、役員も対象になる。
今回は、この特例について動画の解説も準備しました。
特例に関する、厚生労働省からの情報はこちらになります。
新型コロナウイルス感染症の影響に伴う休業で著しく報酬が下がった場合
健康保険・厚生年金保険料の標準報酬月額を翌月から改定することが可能です
・概要のパンフレット
・解説
・Q&A
イムちゃん
なるほど、特例が発表されたのは6月だけど、4月に遡って申請が可能なのですね。
そうすると5月の保険料は安くなるわけだから・・・。
そうすると5月の保険料は安くなるわけだから・・・。
ザパトくん
5月の保険料は、国から還付されることになるね。これは忘れないようにしたいね。
繰り返すけど特例は選択制だから、会社が自ら特例を選択して申請しないと還付もされない。自動的に還付はされないよ。
繰り返すけど特例は選択制だから、会社が自ら特例を選択して申請しないと還付もされない。自動的に還付はされないよ。
イムちゃん
それは資金繰りにも影響するので要チェックですね!
会計事務所としても忘れずに提案しなくては。不況期の社会保険料の負担は税金よりも大きいですからね。
会計事務所としても忘れずに提案しなくては。不況期の社会保険料の負担は税金よりも大きいですからね。
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