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名古屋の会社を強くする労務ブログ
いまだに、文具店には、↓のような勤務時間を記載しないタイプの出勤簿が売っています。
実働時間とか残業時間の月合計欄はあるものの、これでどう時間を管理するの?というヤツです。一歩譲って、1日の所定労働時間が8時間と決まっていて残業ゼロであれば8時間×出勤日数で実働時間は計算できますが、実際に残業が全くないというのは不自然です。遅刻・早退だってあり得るので、毎月ぴったり所定労働時間の勤務というのは考えにくいものです。
では、実際にこのタイプの出勤簿は、労働基準法的にアリなのか?を考えてみたいと思います。労働基準法施行規則には下記の記載があります。
(労働基準法施行規則第五十四条) 使用者は、法第百八条 の規定によつて、次に掲げる事項を労働者各人別に賃金台帳に記入しなければならない。
一 氏名
二 性別
三 賃金計算期間
四 労働日数
五 労働時間数
六 法第三十三条 若しくは法第三十六条第一項 の規定によつて労働時間を延長し、若しくは休日に労働させた場合又は午後十時から午前五時(厚生労働大臣が必要であると認める場合には、その定める地域又は期間については午後十一時から午前六時)までの間に労働させた場合には、その延長時間数、休日労働時間数及び深夜労働時間数
七 基本給、手当その他賃金の種類毎にその額
八 法第二十四条第一項 の規定によつて賃金の一部を控除した場合には、その額
なるほど、これを見ると日々の時間記載は求められていないです。単純に月ごと(賃金計算期間ごと)の勤務日・総労働時間・残業時間・休日勤務の時間・22時以後の深夜勤務時間が分かれば良いようです。日ごとの記載をせよとは書いていない。この出勤簿自体は法的にOKだと考えられます。
しかし、当然、毎日の勤務時間・残業時間などが把握できてなければ出勤簿への記載はできないわけで、時間管理をする義務が会社にはあります。そんなこと基準法に書いてねーじゃんというツッコミが来そうなので、実はお上(厚生労働省)は『労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準』というものを策定しています。そこには、下記の記載があります(なんか引用ばかりですみません)。
ポイントは、使用者(会社)が確認・記録しないといけないところです。しかも毎日です。具体的な記録方法としては、①使用者が自ら現認することにより確認・記録する方法②タイムカード・ICカードなどによる客観的な記録をもとに確認・記録 が原則となっています。そして例外的方法として③社員からの自己申告制も認められています。しかし、自己申告制であっても、当然日々の出勤時刻・退勤時刻の記載はこの基準上は必要なわけで、出退勤の時刻が記載されていない出勤簿では、会社は管理を怠っているということになるわけです。
文書だけだと長くなってしまうので、口直し(?)の動画もアップしておきます。ぜひご覧ください。
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