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頑張る会社をもっと強くする!節税ブログ

2016/01/30

2016.No.03 2016年の会社とヒトの在り方について

『奥田さんは、どう思いますか?ザイムさんでは、どうしていますか?』会社のヒトの問題についてご相談をいただき、率直にザイムパートナーズでは、どうやっているのですかと問われることが増えてきました。恥ずかしながら、私は失敗の多い社長ではあるのですが、自分なりの回答をまとめておきたいと思います。少しでもお役に立てれば嬉しいです。

 

?◆ 基本となる組織の価値観(在り方)が必要な時代?

CREDO・経営理念・フィロソフィーなど、表現はいろいろありますが、会社で一緒に仕事をする人が共感できる、基本的な価値観が大事な時代になってきたようです。当然、社長もそれに従うことになります。そこは社員と平等です。理念・考え方が社長よりも上位であることは必須となり、「オレが法律だ」といった、会社が社長個人の私的な存在であってはいけません。『社長と社員は、視点が違う。』と言い切れる時代ではないのです。

 

可能であれば、基本的な価値観はトップダウン(社長主導)ではなく、ボトムアップ(社員主導)で創るべきだと思います。ヒトは、自ら決めたことについては、やらされることよりも5倍頑張る・・・という、少し怪しい統計もあると聞いたことがあります(笑)。?

 

世の中が多様な価値観で溢れ、個々人の価値観がバラバラであり、かつどれが間違っているわけでもない。今はそういう時代です。そのなかで仕事を通じて互いの関係性を良いものにしていくためには、誰もが概ね納得できる『基本的な価値観(組織としての在り方)』がないと、全員がバラバラに動いてしまい、良い仕事ができなくなる可能性が高くなります。

 

◆ 基本的な価値観に共感できないヒトを入社させない。

どれだけスキルがあっても、基本的な価値観に共感できないヒトは組織に入れない。各人の行動は、他の社員にも影響を与えます。人は互いに影響しあうため、基本的な価値観がズレすぎていると他の社員に悪い影響を及ぼしてしまいます。ヒトは、他人からの影響を想像以上に受けてしまいます。

華やかなスキル・経歴は、採用する側を無駄に期待させて迷わせるので注意してください。面談の場でスキルを評価することは非常に難しいことです。大きな会社で働いていたからといって、仕事ができるわけではありません。明快な採用方針がないと、本人の話すスキル・経歴から思い込みで評価し、採用をしてしまう(これを「論理的誤差」といいます。)ことになるので、良い採用をする上でも『基本的な組織としての価値観は必要となります。』

 

ただし、ドンピシャに共感する人もいれば、共感はするけど、全てを受け入れられるわけではないヒトも多いでしょう(浅く共感・一部共感)。その許容範囲を見極める必要はあります。ドンピシャに共感する人は確かに素晴らしいのですが、あまり固執すると、多様な考え方を受け入れられない組織にもなりかねません。皆が同じ考え方の会社は創造性がなくなり、変化を受け入れられない会社になる可能性も高いでしょう。故に価値観への共感の緩さを、どこまで認めるかは経営者がもっとも悩むところになるでしょう。考え方は、いろいろあってOK。ただし、どういう行動を取るヒトが、うちの会社としてかっこいいか?会社の美意識は明確にすべきだと思います。

 

ちなみに、考え方と価値観は異なります。考え方というのは、同じ仕事をするなかでも方法論はいろいろあるわけで、仕事の達成というゴールに向けての方法論 イコール 考え方と考えて良いでしょう。アプローチの方法と言ってもよいかもしれません。例えば、『会社は熱狂していなければならない!』という強烈な価値観を持つ会社があるとして、それはそれでOKなのですが、そこで仕事の進め方もがむしゃらに熱くやる、というのは違うわけで、価値観 と 仕事への考え方は別物です(ここが混同してしまうと、全てを強制的に一つのやり方でやらせる会社となってしまいますし、工夫や創意のない会社となってしまうでしょう)

 

また、仕事をするうえでの価値観と、個人の仕事を離れたところでの価値観は異なって当たり前です。仕事との距離感をどう考えているかの見極めは重要になっていくように思います。特に女性の雇用を考えるうえでは避けられないポイントではあります。会社に理想とする基本的な考え方がある一方で、社員個人の理想とする働き方もある。理想に正解はないということを忘れないようにしたいです(社長は、自分と価値観の違うヒトを排除する傾向があります。なぜなら、今まで自分の価値観で成功してきたからです。)がむしゃらに働く人 イコール 共感できるヒト とするのは早計です。そもそも頑張ることと、上手くいくことはイコールではありません。

 

社長も、基本的な価値観に沿って行動します。そこはぶれてはいけません。一貫性を持って行動し、会社を治める(支配するではない)。そこから信頼・共感が産まれる。会社は、基本的な価値観(在り方)をベースにした公平な組織であることが求められる時代だと感じています。人間関係を優先する前に、組織として大切な価値観を優先する。ここで公平な組織となります。人間関係を優先する組織は公平ではない、感情で物事を決める会社となってしまいます。

 

通常は、基本的な価値観(組織としての在り方)に沿って行動していれば、仕事も上手くいく確率が高くなるはずです。よほど、反社会的で独善的な考え方でない限りは・・・。

 

◆ プロセスとチャレンジする姿勢を重視する。

なぜなら人は「認められたい」という承認欲求がある(マズローの欲求5段階説の一つ)からです。結果だけを重視すると、達成したか・しなかったが判明した時点でしか承認(褒められる・叱られる)されないことになりますが、プロセスを重視すれば、承認する機会が増えます。ヒトは接点の多いヒトを信頼する。それはは疑う余地もないことです。対話も当然、必要ではあります。対話の機会を増やすためにもプロセスを重視しましょう。

 

失敗しても叱るのではなく、上手くできるように『応援する』ですね。社長の仕事は、社員を管理することではなく、上手く進むように応援すること。そう考えた方が、社長もラクになれるかもしれませんね。

 

◆ 業界平均よりも10%高い給与を払う?

10%に明確な根拠はないのですが、消極的な退職理由を作らないことが重要だと感じています。つまり、待遇(お金と労働時間)で悩ませない。お金で動く人は、高い給与を提示する会社があれば転職してしまうというのは正しくもありますが、それはそれで良いのです。おカネだけを追う、組織に貢献する気のないヒトは早く退出させるべきです。

問題は、真面目に頑張るヒトが会社を離れていってしまうことです。それは避けなければいけません。公平な人事評価と納得性のあるフィードバックを行い、それに見合った賃金を支給すること。優秀な人材ほど自分の頑張りを会社はどう評価するのか気にします。賃金を上げることが難しければ、労働時間を下げる(生産性を上げる)。つまり、時間あたりの賃金を高くする努力をすることが重要です。

いろいろ悩むけど、やっぱり今の会社はワルクない(最適な場所ではないかもしれないけど、離れるほどの積極的な理由はないし、イヤじゃない。)と考えてもらえる努力は必要です。シンプルに考えれば、『能力・投下時間に見合った賃金』を支払うということになります。年収÷総労働時間 で得た『真の時給』が本人の能力に見合っているか確認してみるのも良いかもしれません。

ちなみに、積極的な退職理由とは、他業種への転職や独立を指します。これは、会社側ではコントロールできないので、ここを改善しようとすることは徒労に終わる可能性が高いでしょう。いわゆるハーズバーグの衛生要因ですね。不満足な要因を極力少なくすることは、仕事への積極的な動機付けを作ること以上に意識しておきたいところです。社会保険加入や有給休暇が取りやすいかなども衛生要因ですね。年齢を経ても安心して働ける労働環境を準備するといえば、分かりやすいかもしれません。どれだけ社長が意欲的であっても、根本の労働環境が良くないと、社員としては『給与は増えないののに、またやることばかり増えるのか・・・』と考え込んでしまうことでしょう。

 

組織作りに正解はありませんが、会社としては一貫性をもったうえで、社員の多様な価値観を認めていくということが、どの組織であっても必要になっていくと思われます。もっとも他人の価値観を認め合う組織は、結局は仕事の質で語るしか相手を説得できないことになるので、仕事にはシビアな組織でもあります。そう考えると、会社にとっても、社長にとってもメリットはあるのです。

?文;税理士・社会保険労務士 奥田正名

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