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2012/03/27

2012/No.03 経営セーフティ共済で節税度をアップしましょう。

平成23年10月に経営セーフティ共済制度(別名:中小企業倒産防止共済)の改正が実施され、月額掛金の増額や積立限度額の引き上げが行われました。節税商品としての魅力的な制度の内容、加入メリット、具体的な加入手続きを紹介したいと思います。

 

◆ 中小企業倒産防止共済とは?

中小企業倒産防止共済とは、中小企業の連鎖倒産を防ぐために設けられた共済で、もし万が一取引先が倒産して損失を被った場合には、掛金積立額の最大10倍(最大8,000万円)を借りることができる制度です。掛金は、税務上経費となり、前納の手続きをすれば最大12ヶ月分を支払った時に経費にすることができます。

◆ 制度改正の概要

 

平成23年10月の制度改正の大きなポイントは下記の2点の改正です。

①  月額掛金  8万円→20万円 に増額

② 積立限度額 320万円→800万円に増額

 

掛金は、法人でも個人事業者(個人事業の場合、不動産賃貸業は加入できません)でも、全額経費処理できます。制度改正後は、20万円×12ヶ月分=240万円の経費処理が可能になりました。

◆ 加入した場合の4つのメリット

(1)一時貸付を受けられる

前述のとおり本来の制度の目的は、取引先が倒産して損失を被った場合には、掛金積立額の最大10倍(最大8,000万円)を借りることができるものです。ただし、取引先の倒産がない場合であっても、貸付を受けることができます。掛金総額が800万円に達している場合、最低30万円から最高760万円まで貸付を受けられます。融資の内容は、返済期間は1年で、利率は 「0.9%」、無担保・無保証人での借入が可能です。

(2)前納減額金で利回りアップ!

掛金を前納した場合には、掛金月額と前納する期間に応じて「前納減額金」が支払われます。前納をしていれば毎年6月頃に郵便為替の形で届きます。掛金月額×1,000分の5×(前納月数の累計)で計算します(ただし、前納月数が12ヶ月を超える掛金の前納月数は12ヶ月として計算します。)具体的な前納減額金の額は、掛金月額 20万円で、12ヶ月分を前納の場合には年78,000円戻ってきます。240万円を前納して年78,000円戻ってくるわけですから、年利3.25%の高利回りの商品というわけです。

(参考HP)半年分や1年分の掛金をまとめて払い込んだ場合、割引はありますか?

(3)40ヶ月以上納めれば、全額戻ってくる

払ったときは経費、逆に戻ってきたときは利益になります。掛金を40ヶ月以上納めれば、掛金全額が戻ってきます。40ヶ月未満ですと、一定の割合を乗じた金額が返戻されます。12ヶ月未満ですと、返戻額は0円ですので注意が必要です。

掛金は永久に納付できるものではなく、積立限度額というものがあります。制度改正で800万円まで積立限度額が拡張されました。ただし、掛金総額が積立限度額に達しても、すぐに解約しなければいけないわけではありません。解約のタイミングは任意となります。業績が悪化し、決算書の利益がマイナスになってしまいそうという場合、利益が出た分の税負担は必要となりますが、倒産防止共済を解約して決算書の見栄えを整えることが可能です。

(4)経費処理しなくても、節税が可能です。

決算書の話の続きとなりますが、倒産防止共済の掛金は決算書において「積立金」処理が可能です。つまり、決算書上では経費としなくとも、税金計算上は経費(損金)とすることもできます。決算書上の利益を減らさずに、節税することができるわけです。純資産の目減りはしたくないが、節税はやりたいという悩ましいニーズにも対応できるため、派遣事業者などの一定の純資産額がないと許認可が認められない業種の節税プランとして有効です。正に『経費となる、高利回りな定期積金』と言えます

◆ 効果的な節税方法

前述しました平成23年10月の制度改正で月額掛金が変更されたことに伴い、掛金増額のタイミングで節税効果(節税額)に差が出てきます。一番効果的な掛金の納付方法を下記の(A)と(B)のケースで説明します。

(A)まだ加入されていない方、または月額8万円で加入しているが前納処理していない方

→毎月の掛金を20万円まで増額する

→決算月の前月まで月払いをして、決算月で12ヶ月分前納をする

(B)加入済、かつ、12ヶ月分の96万円前納をしている方

→毎月の掛金を20万円まで増額(前納している掛金から増額分は充当されていく)

→充当額がなくなった後は決算月の前月まで月払いをして、決算月で12ヶ月分を前納する

 

◆ 加入要件

中小企業倒産防止共済に加入できる方は、引き続き1年以上事業を行なっている中小企業者(個人を含む)となります。つまり、開業後1年未満の場合は、原則として加入できないこととなります。また、上記の他、「資本金等の額」と「従業員数」で制限を受けますが、業種ごとに異なりますので、詳しくは中小企業倒産防止共済のHPまたは弊社までお問い合わせください。なお、納付すべき所得税または法人税を滞納している場合は加入することができませんので、ご注意ください。

◆ 加入手続き

加入時に必要な書類等は下記です。

① 契約申込書

②法人税法申告書別表1(1)の控え(受領印のあるもの)

③ 直近の法人税納付書の原本(なければ、源泉納付書)

④ 3ヶ月以内に取得した履歴事項全部証明書の原本

※1 個人事業者は、②については所得税の確定申告書、③については所得税の納付書となります。④はございませんので、必要ありません。

※2 掛金は加入申込月に振込による方法と、初回の口座振替時(原則、加入申込月の翌々月)に納付する方法との選択となります。

加入手続きは、預金口座がある金融機関で行われることをお勧めします。振替は毎月27日、掛金の増額・減少・前納等の変更関係の書類は、申し込みをした金融機関等を通して、その月の5日までに制度を管理する中小企業基盤整備機構に届けばその月の27日の振替に反映されます。変更等をしたい月の前月末日までに金融機関に書類を提出できれば問題ないかと思います。

ただし、1年以上事業を行っている中小企業者が対象となるため、創業初年度の法人の場合は、この節税プランは実行できないのでご注意ください。

 

文;岡田誠二

 

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