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2016/01/05

海外への慰安旅行について税理士的視点で考えよう

海外といえば、税務では海外慰安旅行ですよね?(強引だな・・・)

 

海外への慰安旅行は、3つの要件を満たせば福利厚生費として経費(損金)処理が 認められ、かつ旅行に参加する従業員・役員にも給与課税はされません。

 

さて、海外といえば、税務では海外慰安旅行ですよね?(強引だな・・・) 海外への慰安旅行は、3つの要件を満たせば福利厚生費として経費(損金)処理が 認められ、かつ旅行に参加する従業員・役員にも給与課税はされません。

 

・会社としては、経費になる。
・従業員・役員に所得税はかからない。

 

良いことづくしですね。逆に言いますと、3つの要件を満たさなければ、次の悲しい結果になってしまいます。

 

・会社としては、経費になる。
・ただし、従業員・役員に所得税が課される(現物給与として認定されるため)
・更に、役員分の旅行代金は損金とならない(臨時役員賞与の扱いになるため)
・所得税部分の納付がされていないと、不納付加算税もプラスして課税される

 

厳しいですね・・・。 それでは、3つの要件とは何ぞや?ということになりますが、次の3つです。

 

①旅行の期間が4泊5日(滞在日数が4泊5日期間が4泊5日(滞在日数が4泊5日であればOK)
②従業員の50%以上が参加
③その慰安旅行が社会通念上一般的だと認められる範囲のもの (つまり、高額な旅行はアウト)

 

①②は、誰が読んでも、判断に迷うところはないと思いますが、③は 税理士的には悩ましいところです。具体的にいくらであれば、高額な旅行と認定 されないのかが、所得税法で明文化されていないためです。 ただ、旅行代金について、いくつか参考にすべきものがあります。今回は、その ご紹介です。リンクも貼っておきますので、参考にしてください。

 

(1)国税庁タックスアンサーの記載事例

→10万円の旅行代はOK。(事例2に記載)

 

(2)国税不服審判所平10.6.30裁決、裁決事例集No.55 248頁

→平成10年裁決ということもあり、少し古いのですが結論としていえば 、平成5年に1人あたり192,003円の旅行負担額は、高額であると 認定されています。ただ、ではいくらが妥当なのかという記載は裁決にはなく、192,003円以上だとアウト(福利厚生費にならない)としか 判断つかないところです。 この事例の場合、社員の家族の参加費まで会社が負担していたということなので、度が過ぎていたケースともいえます。家族の参加ぐらいで度が 過ぎているという表現も良くないかもしれないですが。

 

(3)国税不服審判所平22.12.17裁決

→最新の事例です。この事例は、不服審判所が高額でない妥当と言える海外旅行費 について、調査をして開示したうえで、納税者の訴えを認めず、給与認定した 事例であり、非常に参考になります。 この事例では、一人あたりの平均海外旅行費の統計値として調査会社が集めたデータを採用しています。それによると平成21年12月調査においては、 一人あたり56,889円を会社負担として妥当な額としています。

 

上記(1)(2)(3)の事例を見る限りでは、結論としては(1)を基準として採用するのが ベターなのだろうと思われます。とりあえず、国税庁がOKと公言しているわけですので このページが改定されない限りは、1人10万円というラインが無難だといえます。(3)を採用すると6万円程度でも高いということになってしまいますので、(1)と 大きな乖離が生じます。

 

これら3つの事例より更に昔の事例に、平成3年の国税不服審判所 の事例で18万円程度の旅費が認められたケースもあるようですが、現在より25年前の 景気環境での事例では、判断としては使えない気もしますので割愛します。

 

ただ、税金が気になるくらいなら、慰安旅行をすべきではないのかもしれません。慰安旅行代が給与認定されるから、旅行は止めようかな・・・と いう社長ってカッコワルイじゃないですか(笑) 税務について納得がいかないことがあっても、それはそれ。 慰安旅行の元々の趣旨は、社員と楽しい時間を共有して、リフレッシュしてもらうこと だと思います。

『税金?払うよ。その分、サイコーに楽しもうぜ。』ぐらいの度量が、経営者にはあって 欲しいところです。

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