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2014/No.12

福利厚生費と給与の境目とは?


会社が従業員のために負担する経費は給与のほかに多岐にわたります。今回は、その中で社会保険料などの法定費用を除いた、いわゆる福利厚生費について取り上げてみます。

税務のポイントは、その支出が福利厚生費なのか?!実質給与なのか?!という点です。支出額が給与と認定されると、通常の給与と同様に従業員から源泉所得税を徴収し、納付をする義務が会社には生じます。この判断を間違えると源泉所得税の納付漏れのリスクがあるので注意が必要です。それではまず、福利厚生費の原則と例外の考え方から確認してみましょう。慰安旅行について、会社負担分が高額だったことから給与課税された事例からの引用です。

【福利厚生費は、役員又は使用人の慰安、勤労意欲の向上、組織内の親睦、組織機能の活性化等を目的として使用者が役員又は使用人のために支出し、当該支出によって、役員又は使用人はそれらの地位に基づき当該経済的利益を享受するものと解され、役員又は使用人が受ける当該経済的利益は、原則として、所得税法第28条第1項に規定する給与所得に該当するものである。】と述べられています。(国税不服審判所 平10.6.30裁決 より)

 

簡単に言えば、給与(金銭の支払い)でなくとも、従業員が会社から何らかの利益を得たなら、それは給与だということです。従業員としての地位に基づいて受けた利益は、給与をもらっているのと同じという考えです。これが原則になります。ただし、次の例外が存在します。

【…役員又は使用人が受ける経済的利益は少額であるのが通常である上、その評価が困難な場合も少なくないこと及び…使用者が費用を負担して福利厚生行事を行うことは一般化していることから、福利厚生行事が社会通念上一般的に行われているものと認められる範囲内のものである場合には、国民的感情を考慮して課税しないことと解するのが相当である。】(同上、国税不服審判所 平10.6.30裁決 より抜粋して引用

 

つまり、あくまで原則は「給与課税」、例外に該当すれば「非課税(=福利厚生費)」という取扱いになるわけです。では実際にどういった支出だと福利厚生費となり、あるいは給与として判断されるのでしょうか?具体的に例示を見ていきましょう。

◆ 給与やボーナス以外の一時金(報奨金・賞金)を支給した場合

会社に貢献する提案をした場合の報奨金制度に基づき、報奨金を支給した場合、【通常の職務の範囲内か、範囲外か】によって扱いが異なります。

●通常の職務範囲内 → 給与として課税(源泉徴収義務あり)
○通常の職務範囲外 → 一時所得 (継続性のない場合・会社としては源泉徴収義務なし)

 

例えばタクシー運転手が、無事故による表彰金や無欠勤による表彰金を受けた場合、これは当然職務を果たす上での通常の努力によるものと考えられます。また、社内提案制度における報奨金などについては、提案が課題として義務化されていたり、そのための会議の時間が就業時間内に行うことが明らかであったりすると職務範囲内のため給与となります。いわゆる餅代・寸志も同様に給与となります。

金銭で払うものは、見舞金・香典・結婚祝儀・入学祝金以外は、名目が何であれ、ほぼ課税の対象となると考えて良いでしょう。後述しますが、見舞金等であっても、高額な場合は給与課税(臨時ボーナス)扱いとなります。

◆ 祝い金・見舞金の支給をした場合

●一般社員 → 3万
○役付社員 → 5万

 

上記の金額水準の「結婚祝い金」を従業員に支給した場合、非課税と取り扱っても問題ないでしょう。 他にも子どもの入学祝金、見舞金などは、社会通念上一般的な額の支給であれば課税されません。 (役員に対する見舞金については、入院1回当たり5万円が相当と判断された国税不服審判所の裁決 が過去にあります。)世間相場を意識した支給であれば福利厚生費として非課税となり、世間相場を 逸脱した水準だと給与になるわけです。 役員と一般従業員では、地位が異なることから金額に差をつけることは可能ですが、あくまでも常識範囲内であることが重要です。高額な場合や、特定の人のみの支給など公平な運用でない場合は、給与課税とされることもあるでしょう。ちなみに勤続年数に応じた支給額を設定する方式も認められます。

◆ 慰安旅行の費用を負担した場合(従業員の場合、従業員の家族の場合)

従業員レクリエーションのための慰安旅行の費用を会社が負担した場合、下記の条件を満たせば給与課税されないこととなっています。

① 旅行の期間が4泊5日以内である(海外旅行の場合、現地滞在日数が4泊5日以内)
② 全体の人数の50%が参加している
③ 会社負担額が社会通念上一般的な範囲内である

 

ただし、金銭支給との選択が可能な場合や不参加者に金銭を支給する場合は、参加不参加を問わずに全員に給与課税されるので注意が必要です。また、社員旅行に家族が同行し、その家族の旅費等を会社が負担するような場合、それはその従業員に対する給与として課税されます。従業員が負担すべき費用を会社が変わって負担したものと考えられるためです。社会通念上一般的な範囲内との判断において、裁判では、下記のような慰安旅行の会社負担額については、著しく高額であるとして全額が給与とみなされています。

 

行先

日程

1人あたり平均会社負担額

結果

マカオ

2泊3日

241,300円

東京高裁25.5.30

シンガポール

4泊6日

204,919円

岐阜地裁14.4.11

サイパン

4泊5日

199,501円

(同上)

バンコク

4泊6日

165,066円

(同上)

 国税庁のタックスアンサーには、4泊5日の海外旅行費用25万のうち会社負担額が10万(社員が15万円を負担)の場合を非課税と示している事例が掲載されているので、それも目安にはなるでしょう。

◆ 制服・スーツを提供した場合
 
 職務の性質上、制服を着用する必要のある従業員に支給する制服や、もっぱら勤務先でのみ使用する作業服の支給については、非課税とされています。ただし、スーツのように、私服としても着用できるものを支給する場合は給与として課税されることになります。

◆ 療養中の従業員の社会保険料を負担した場合  

病気で休むため、給与がゼロとなる場合でも、退職していない限り社会保険料の負担は会社も社員も生じます。給与がゼロで天引きができない場合に、従業員負担分の社会保険料を一時的な立替ではなく会社が負担してあげた場合は、その従業員への給与とみなされて課税を受けます。その場合、給与としての課税はされますが、社員が自分で払った社会保険料と同じ扱いとなり社会保険料控除を受けること

◆ 適正に源泉徴収していなかった場合のリスクは?

給与課税すべきものを認識せずに、税務調査で指摘をされると、会社として源泉徴収義務を怠ったというペナルティが発生します。源泉徴収して納付すべきだった税金に対し、不納付加算税(納付額の10%)というペナルティが余分に課されることになります。

【例】慰安旅行について、全従業員20名について、8万円の給与認定をされた場合の税負担
(従業員から源泉徴収すべき額を含む)

① 80,000円 × 20名 × 5%(所得税率※)= 80,000円(本税)
② 80,000円 × 10% = 8,000円(不納付加算税)
③ ① + ②= 88,000円

※所得税率は、従業員の所得によって異なります。

 

さらに、納付するまでの延滞税も加わります。延滞税と不納付加算税は、罰則金の性質があるため、税金計算上は経費(損金)となりません。影響はかなり大きいものとなります。

本税(源泉所得税)に関しては最終的に従業員から徴収ができれば会社負担はないのですが、一時的にでも立替負担を強いられるのは源泉徴収義務者の会社であること、退職等で本人から徴収ができずに結局会社が負担をするということも見受けられるので、気をつけたいところです。


◆ 社会通念上一般的な額とは?

最後に、社会通念上一般的な額とは一体いくらなのだ?!という疑問が残ると思いますが、これは、経済状況によっても変化するものなので、法律に明記がされていません。わかりづらい面もありますが、金額の水準が気になった際には、まずは【世間一般ではいくら?】の感覚をぜひ意識して頂きたいと思います。弊社でも参考となる相場はチェックしております。

文:税理士 松浦 圭子

 


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