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2013/09/20

2013/No.09 決定版!! どこよりも分かりやすいNISA

2014年1月より「少額投資非課税制度(愛称『NISA(ニーサ)』)」がスタートします。今回は、NISAについて分かりやすい解説と、現状の一般口座又は特定口座(以下「課税口座」と言います)との損得を検証してみたいと思います。

◆ NISAとは

前出の「少額投資非課税制度」をもう少し噛み砕くと、「暦年100万円までの株・投信への新規投資が、非課税になる制度」になります。現行の税制では、売却益に対して10.147%の税が課されますが、この税率は2013年までです。2014年からは、税率が20.315%と倍になります。イメージ的には、その税率アップを回避する制度になります。

2013年までの税率

         2014年以降の税率

 

10.147%

NISA口座での売却益・配当      0%

課税口座での売却益・配当   20.315%

NISAは、銀行・証券会社にて口座を開設して始めます。20歳以上の日本在住者であれば、誰でも口座を開設できます。開設できるのは1人1口座までです。複数の開設は、できません。口座開設手続の詳細は割愛しますが、口座開設時に税務署より、複数開設がされていないかのチェックが入ります。なお、NISA口座開設は、2013年10月から申請可能です。

◆ 暦年100万円までの買い付けに対する売却益等が、非課税になります

例えば、2月に30万円、5月に50万円の買い付けをしたら、本年の残りの非課税枠は20万円になります。2月に買った30万円の株式を売却しても、非課税枠は20万円のままです。あくまでも「買い付け」額の判定になります。そのためNISAは、売買を繰り返す短期投資には向きません。また、暦年100万円の枠は、翌年に繰り越せません。例えば、本年に80万円の買い付けを行い、20万円の枠が残っていたとしても、翌年の非課税枠は100万円で、本年の20万円の枠は消滅します。

◆ 非課税期間は買い付け年を含め5年。5年経ったら、新たなNISA投資枠OR課税口座に移管

6年目以降も運用を継続する場合、時価が100万円までであれば、新たなNISA投資枠に移管できます。時価がそれ以上の額であれば、100万円超部分の売却(又は課税口座へ移管)後にNISA口座へ移管するか、全てを課税口座へ移管するかの選択になります。ちなみに、「課税口座 → NISA」移管は課税されますが、「NISA→課税口座又はNISA」移管時点では課税されません。移管する場合、移管時点の時価が、新たな買い付け価格になります。時価が、購入時より上か下かで、税の損得が変わってきます。具体的には購入時より下がった時価で課税口座へ移管し、その後値上がりすると、税的には損になります。

letter201309-1

様々な状況が想定されますが、割り切って「時価が100万円以下なら、NISA継続」と決めてしまっても良いでしょう。

◆ NISA口座での売却損は、損益通算ができません

通常、株式投資等の売却益と売却損は相殺できます。ですが、NISA口座の投資でいくら売却損が出ても、他の課税口座の投資の売却益とは相殺できません。仮にNISA口座で100万円の売却損が出て、他の課税口座で100万円の売却益が出ていたら、売却益の100万円が課税対象になります。NISA口座は、売却益に課税しない代わりに、売却損も相殺できない扱いになります。

◆ 対象は、新規買い付けです

2013年までに持っていた株式等を、NISA口座に移管することはできません。NISA口座で同じ株式を運用したい場合は、一度売却し、同じ株式を再度買い付けする必要があります。一度売却してまで、既存株式をNISA口座へ移管した方が良いのか、迷うところです。ここで移管した場合、しなかった場合の損得をシミュレーションしてみましょう。

letter201309-2

このように、NISA口座へ移管後に値上がりすればするほど、NISAへ移管するメリットが出ます。逆にNISA口座へ移管後に、購入価格より値下がりした場合には、NISA口座移管時の売却に対する税の分、損が出ます。とは言え、値下がりすると思って株を持ち続ける方は居ないので、基本的には移せるものは移した方が得だと言えます。

 要約すると、NISAとは「暦年100万円までの非課税投資枠が、最大5本持てる」制度になります。損益通算ができない等のデメリットはありますが、利益に対する非課税メリットのある制度ですので、機会のある方は積極的にNISAを活用して良いかと思います。通常、結果的に損する事はあっても、「損しよう」と思って投資はしません。リスクを取らなければ、リターンもありません。売却益の非課税は結果であって、目的ではありません。「まずはリスクを取ること」「適正なリスクを判定できるよう、学ぶこと」が、最も大切な事だと個人的には思います。

 

文;渡辺雅人

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