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2016/03/22

社員退職金をどう貯める?3つのプラン

『長年会社に貢献してくれた社員のために、退職金を支給したい。退職金制度をつくりたい。』というご相談をいただくことがあります。

 

退職金の積み立てには長期的な資金計画が必要ですし、社内で積み立てるだけでは、実際に社員に支給するまでは、経費になりません。経費にするには、何らかの形で外部に積み立てる(支払う)必要があります。

 

中小企業が将来の退職金を準備するために、知っておきたい3つのプランをご紹介します。

 

■プラン1■ 中小企業退職金共済制度(中退共)
中小企業のための国の退職金制度です。
会社が毎月の掛金を共済に支払い、社員が退職したときに共済から退職金が支給されます。
メリット

・掛金は全額経費になります。
・掛金月額は、5,000円〜30,000円の中から、社員ごとに選択することができます。
 (掛金を変更することも可能ですが、減額する場合は社員の同意が必要です。)
・初めて共済に加入する会社には、加入後4か月目から1年間、掛金月額の2分の1
(上限5,000円/人)を国が助成します。
・加入手続・退職金の支給手続が簡単です。

 

デメリット

・ 退職理由を問わず支給されるため、例えば、懲戒解雇による退職の場合でも退職金が
本人に直接支給されます。
・ 加入して1年未満で社員が退職した場合には退職金は支給されないので、会社としては
掛け損になってしまいます。
・ 会社の役員は加入できません。(会社の役員は、小規模企業共済に加入ができます。

 

■プラン2■ 生命保険による積み立て
契約者を会社、被保険者を社員(役員)、保険金の受取人を会社として、生命保険契約を結び、
保険料を会社が負担します。
被保険者の死亡時には死亡保険金を受け取りますが、通常の退職時には解約返戻金を会社が
受け取り、退職金の原資に充てることができます。
メリット

・ 個人契約の生命保険より、高い節税効果があります。
・ 解約時期は自由に選択できます。
(ただし、解約時期が早過ぎると返戻金の額が低くなり、損をする場合があります。)
・ 死亡保険金・解約返戻金は、退職金以外の使途に充てることもできます。
・ 契約者貸付制度により、解約返戻金の範囲内でお金を借りることができます。
(借入限度額は、解約返戻金の概ね70%〜90%が多いようです。)

 

デメリット

・ 早期解約をしてしまうと、返戻金の額が低くなり、会社が損をする場合があります。
・ 支払った保険料の一部は、通常経費になりません。
(一般的には2分の1が経費となるハーフタックス型が多いです。)

 

■プラン3■ 確定拠出年金(企業型)

会社が毎月の掛金を共済に支払い、社員が退職したときに共済から退職金が支給されます。在職中に会社が掛金を負担し、社員が自ら運用方法を選び、運用実績に応じて受取額が変動する
制度です。

退職時(60歳到達以降)に一時金(退職金)として受給するだけでなく、年金として受給することや、一時金と年金の併用受給も可能です。「個人型」であれば、会社に制度がなくても個人で加入することができ、掛金は所得から控除することができます。

メリット

・ 会社が負担した掛金は、経費処理が認められ、かつ、社員は給与収入に含まれないため、 会社と社員の双方に節税メリットがあります。
・ 社員が自ら運用方法を選び、将来の年金を増やすことができます。

 

デメリット

・ 原則として、60歳になるまで現金化することができません。
・ 社員が自ら運用するので、運用のリスクも社員が負うことになります。
・ 転職時等の手続きが煩雑です。

 

退職金は、長期的な資金の積み立てです。いずれのプランもメリットとデメリットがあり、ある程度のお金を一定期間継続的に支払えることが大前提です。それぞれのプランを、今の会社の実情や将来の会社のビジョンと照らし合わせて、上手く退職金資金を積み立てていただければと思います。

文;税理士 高木舞

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