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頑張る会社をもっと強くする!節税ブログ

2017/04/06

2017 .No04 平成29年4月からの、強い会社を作るために役立つ助成金

平成29年度(平成29年4月1日から)の助成金の概要が、厚生労働省より発表されました。

具体的な詳細は今後明らかになっていきますが、比較的多くの会社で適用できる可能性が高いものに絞って、ご紹介いたします。なお、今回は中小企業に限定した内容で作成しています。

 


◆ キャリアアップ助成金(正社員化コース)の金額が変わりました。

いきなり正社員として採用するのは躊躇う。一旦は、契約社員・期間限定アルバイトで雇用し、その後勤務態度を見極めたうえで正社員にしたい・・・。このニーズに対応した助成金として注目されているキャリアアップ助成金ですが、助成金額は下記に変更となりました。28年度との対比で確認してみましょう。生産性要件を満たす会社は28年度より増額され、満たさない会社は5%減額されることになりました。

 

正社員化コース

の内容

平成28年度 平成29年度
生産性要件を満たさない会社 生産性要件を満たす会社
有期→正規 600,000 570,000 720,000
無期→正規 300,000 285,000 360,000
有期→無期 300,000 285,000 360,000

 

正規には、いわゆる正社員だけでなく職務限定社員・短時間勤務社員 などの正社員より賃金は低いが、無期雇用の月給者を含みます。有期→無期は、期間限定アルバイトを期間限定ではないパターンに変えるという形です。アルバイトだけど、ずっと会社にいていいよというイメージですね。

また、派遣先の会社で、派遣スタッフを無期雇用で自社の社員として採用した場合には、次のように助成金額が割増されます。

 

正社員化コース

の内容(派遣社員)

平成28年度 平成29年度
生産性要件を満たさない会社 生産性要件を満たす会社
有期→正規 900,000 855,000 1,080,000
無期→正規 600,000 570,000 720,000
有期→無期 300,000 285,000 360,000

 


◆ 生産性要件とは?

今後、助成金を申請するうえで、会社の決算書の確認が必要となります。生産性要件は下記の算式でクリアしているかどうかを判断するためです。?助成金の支給申請等を行う直近の会計年度における「生産性」が、その3年前と比較して6%以上伸びていれば助成金額が割増しされます。キャリアアップ助成金以外にも、この生産性要件が設定されている助成金(※)も多くなりました。

生産性?(営業利益+人件費+減価償却費+動産・不動産賃借料+租税公課)÷雇用保険被保険者数

申請する日の直近決算書を第4期とすれば、3年前の第1期の決算書との比較にになります。言い換えれば、助成金申請時点で、第4期になっていない会社だと、この生産性要件がクリアできないので助成金の割増しはないことになります(私見ですが、このあたりは、後日別の扱いが定められるとは思われます)


◆ 注目の諸手当制度共通化コース

キャリアアップ助成金に、新たに追加されたコースです。?有期契約労働者等に関して正規雇用労働者と共通の諸手当制度を新たに設けて、実際に支給した会社には、1事業所当たり 38万円(生産性要件を満たす場合は48万円)が支給されます。ただし、1事業所当たり1回のみとなります。

同一労働同一賃金の考え方が滲み出る助成金ですが、パートや契約社員の処遇改善を検討している会社には良い制度だと思われます。正社員と同じ扱い(金額も同じ)となる手当の具体例としては、『役職手当・特殊作業手当・特殊勤務手当・精皆勤手当・食事手当・単身赴任手当・地域手当・家族手当・住宅手当』などです。毎月支払う手当で、かつ月額3千円以上の手当であることが求められます。

もちろん、会社オリジナルの手当であってもOKです。条件を満たせば正社員も、そうでない者も同じ金額が支給されれば良いでしょう。

非正規雇用者の処遇改善を考えている会社であれば、比較的導入しやすい助成金だと思われます。


◆ 社員の評価・賃金制度を作ってみたい!そんな会社には、人事評価改善等助成金

『社員が定着しない。すぐに退職してしまう。』この悩みは、中小企業の社長にとって、売上以上に気になるものです。この悩みの解消に有効な手段の一つとして、『適切な人事評価制度(評価と賃金が連動する制度)』の構築が課題となっている会社には、今回の新設された助成金が適しています。明確なキャリアプランがないと、この会社に長くいて良いのか不安だという社員さんの声にも人事評価制度は応えられます。

イメージとしては、ここまで仕事ができるようになれば給料は〇〇万円にアップ、賞与は△△万円になるよという人事評価制度を文書化して、社員にも通知(オープンにする)すれば、助成金が50万円もらえます。評価制度の作成が自社だけでは難しいという会社さんでも、この助成金を原資に外部コンサルタントの力を借りることが可能になります。

また、制度導入後に一定の目標を達成すると、目標達成助成として80万円が追加でもらえます。合計で130万円の受給が可能となります。(今回は雇用保険被保険者数が300名以下の会社に限定して記載しています。)

 

制度整備助成 50万円
目標達成助成

(離職率が上昇しない)

80万円
合計 130万円

 

また、社員に対して月給を上げることを公約する必要があります(助成金の必須要件です)。具体的には、新制度の実施日の前月とその 1 年後の同月を比較し、月給の総額を2%以上増加させることについて社員の過半数を代表するものと合意していることが求められます(当然、書類での合意が必要となります)。

公正な評価&昇給で、社員の定着を考えている会社にはおススメです。なお、この助成金も前述した生産性の要件をクリアすることが必須となります。

(タイムスケジュール例)

6ヶ月で評価制度を作り、その後に実施!今回は来年4月から評価制度を導入したい会社をイメージしてください

① 人事評価制度等整備計画を労働局へ申請する。

  ※制度を整備する月の初日の6ケ月前の日から1カ月前の日の前日までに申請

② 上記①の申請後に、認定通知を受けます。通知を受けたら評価制度・賃金表・就業規則を作成。そして新制度での給与を支給する。

③ 上記②の給与支給後に、制度整備助成(50万円)の支給申請を労働局へ。

  (②の給与支給後2ヶ月以内)

④ 更に1年後、目標達成助成の支給申請(80万円)

人事制度の構築から最終の目標達成助成の支給までには、最大で2年はかかると思った方が良いです。注意したいのは、助成金が目的ではなく、継続して使用に耐えうる評価制度の構築がゴールです。適当な評価制度は、逆に会社をギクシャクさせてしまいます。安易な気持ちでこの助成金に取り組むことはおススメしません!実際にお客様の評価制度の構築をサポートした経験上ですが、評価制度作成に半年程度は見込んでおいた方が良いと思います。


◆ 助成金をもらえる会社なら、当たり前に揃えないといけない書類

助成金は、雇用保険を財源としたものです。労働基準法をはじめとする労働諸法令を守っていることが書類で確認できない会社では、残念ながら受給できないことがあります。

◎労働条件通知書(雇用契約書)

労働基準法では、従業員に対し、労働条件を文書で明示することが義務付けられています。雇用期間の定め(有期・無期)や始業・就業時刻、休日等について、しっかりと記載されていますか?当然ですが、実態と合ったものでなくてはなりません。基本給や手当は、給与明細と合っていますか?

◎タイムカード(出勤簿)

給与を適正に支払うため、また、健康管理のためにも、会社は従業員の労働時間数や休暇の取得状況を把握する必要があります。各従業員の出社時刻・退社時刻は正確に記録されていますか?

◎賃金台帳

会社は、給与計算に関わる事項を賃金台帳に記載し、備える必要があります。タイムカード等で把握した労働時間数に基づき、適正な給与が支払われていなければなりません。時間外・深夜(22時以後)や休日の割増賃金は正しく計算されていますか?また、雇用保険料や社会保険料は正しい額が天引きされていますか?

◎就業規則

従業員ごとの個別の条件は、先に述べた労働条件通知書等で明示しますが、会社全体のルール等は就業規則で定めることが出来ます。10人以上の会社は、就業規則を作成して、必ず労働基準監督署へ届け出なければなりません。なお、就業規則にも記載しなければならない事項が定められています。労働条件通知書等の内容との食い違いはありませんか?実態とあった内容になっていますか?

◎さいごに・・・

これらの書類が必要だなんて知らなかった!まったく作成していない・・・、という会社さんも現実には沢山あると思います。少しずつでもいいから労働環境を整えて良い社員を増やしていきたい、会社のルールをちゃんと定めたい、とにかく会社を良くしたい!と考えている社長さん、ザイムパートナーズへ是非ご相談下さい。助成金の申請を機に、一緒に整えていきましょう!そんな前向きな会社のお手伝いをさせて頂けると私達はとても嬉しいです。

 

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