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頑張る会社をもっと強くする!節税ブログ

2016/09/11

節税動画31〜助成金がもらえる!その収入は、どの時点で利益認識すれば良いの?

◆ 助成金は、厚生労働省から貰えるものです。

助成金というと、国から貰えるお金はすべて助成金だと思われている方もいると思いますので、この節税ブログ上は、定義をはっきりさせておきましょう。

 

助成金 イコール 厚生労働省が管轄する会社への給付金とお考えください。給付金の窓口は、通常は労働局となります。国からもらえる給付金という意味では、経済産業省が管轄する補助金(例;モノづくり補助金)というのもありますが、管轄する役所は異なるわけです。あと、補助金には採択率という概念があり、条件に該当していれば100%もらえるわけでもないことが特徴です(選ばれた会社だけが貰える)。

 

今回は、厚生労働省が管轄となる、労働保険を財源とする給付金である『助成金』について、会社の経理上、重要なポイントを解説いたします。

◆ 助成金は、いつ利益計上すれば良いのか?

支給決定通知が届いて助成金が貰えることが決まった。でも、実際に入金があったのは決算日より後(翌年度)だった。こういうケースでは、経理担当者は、その助成金の経理処理について悩むところだと思います。税理士事務所の社員さんも悩むところでしょうね・・・。

①助成金の支給決定通知日で利益計上するのか?

➁助成金の入金日で利益計上するのか?

③決定してなくても見込みで利益計上するのか?(助成金の支給申請はしているから)

 

考えられるのは、①②③のいずれかになりますが、この回答の拠り所が法人税法基本通達2−1−42に記載されています。とはいえ、これ読んだだけでは、わかんねーよという方も多いと思います。

 

(法令に基づき交付を受ける給付金等の帰属の時期)

2−1−42 法人の支出する休業手当、賃金、職業訓練費等の経費をほてんするために雇用保険法、雇用対策法、障害者の雇用の促進等に関する法律等の法令の規定等に基づき交付を受ける給付金等については、その給付の原因となった休業、就業、職業訓練等の事実があった日の属する事業年度終了の日においてその交付を受けるべき金額が具体的に確定していない場合であっても、その金額を見積り、当該事業年度の益金の額に算入するものとする。

(注) 法人が定年の延長、高齢者及び身体障害者の雇用等の雇用の改善を図ったこと等によりこれらの法令の規定等に基づき交付を受ける奨励金等の額については、その支給決定があった日の属する事業年度の益金の額に算入する。

 

この通達を読むと、助成金の種類ごとに、利益計上時期は違うよということになります。その助成金が経費(給与含む)補てん型であれば、助成金の支給申請を決算日までにしていれば、貰っていなくとも、決定通知がでてなくとも利益計上しなさいということになります。

 

経費補てんの助成金は、通常は、経費金額×○%という給付額になっています。つまり、助成金の受給額がどのような算式で計算されるのかで判断できるといえます。平成28年度(28年4月1日から29年3月31日)の助成金でいえば、キャリア形成促進助成金というのがあるのですが、この助成金名だけで判断してはいけません。助成金は、名前は同じでも種類(コース)が違えば、その補てん額は違います。

 

キャリア形成促進助成金のうちの、重点訓練コースを選択すると、外部講師への報酬の50%+訓練実施時の給与補てんとして1時間800円の補てんがされます。このケースだと通達どおり、支給決定通知がでてなくとも見積もり金額(申請書に記載している金額)で利益計上することになります。

 

一方で、同じキャリア形成促進助成金でも制度導入コース(50万円貰えます)であれば、支給決定時で良いことになります。これは経費の補てんではなく、会社の取った行動(従業員の評価)に対して支給されるものだからです。

 

このように、助成金の給付額の計算式が、実費に対する補てん(つまり、助成金額が実費の額に応じて変動するもの)であれば、支給申請額で利益計上することになります。申請をしているのであれば、その期の支払いに対応する申請額を経費・賃金の支払いと対応させる期において収益計上すべきと考えるわけです。

 

仮に申請後に不支給となった場合は、翌年度以後で損益修正(過年度損益修正)をすることになります。ただし、通達の注意書きにもあるように定年延長や障害者雇用に関する助成金は例外となり、支給決定通知の日で利益計上することになります。

 

一方で、経費補てん型でない助成金(給付金額が実費に連動せず、固定)のものは支給決定通知のあった日で利益計上することになります。最近の助成金でいえば、キャリアアップ助成金(正社員化コース)などは、こちらに該当します。

 

繰り返しになりますが、助成金額の計算式をキチンと確認することが重要です。安易に助成金名だけで判断せずに、厚生労働省のHPでアップされている助成金のパンフレットなどを確認してから経理処理をしましょう。こういうとき、弊社は社会保険労務士事務所を併設しているため、助成金内容を理解しているスタッフに聞けるので助かっています。普通の税理士事務所だと、この論点は悩んでしまうのだろうなと思います。

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