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2015/11/29

2015/No.14 税務調査について 6つのポイントをチェック

◆  税務調査 ワンポイント その1

調査を開始する前に、当たり前ですが調査対象法人の選定が行われます。よく、『3年に一度は調査があるよ。』という話を聞きますが、実際には3年に一度という程の頻度で調査はないものです。国税庁が発表している統計に拠りますと、法人の実調率は、昭和42年の16.1%をピークに、平成26年では3.0%まで低下しています。この実調率は、実地調査の件数を対象法人数で除したものです。3.0%ということは、1法人につき、33年に1回程度の確率でしか調査は生じないということになります。(ちなみに個人課税の実調率1.0%です。100年に1回しか調査は起きないということになりますね。)法人数に対して、調査を行う税務署員の数が少な過ぎるとも言えるでしょう。税務調査は3年ごとにあるというのは、統計を見る限りでは完全な迷信です

◆  税務調査 ワンポイント その2

とはいえ、3年に一度程度のペースで税務調査が行われることも現実にはあります。統計では33年に一度しか起きないのに、なぜか3年に一度は調査がある。これは、前回の税務調査で重加算税が課される案件であったかどうかに拠るところが大きいです。重加算税は、いわゆる仮装・隠蔽とみなされるケースで課されます。要は、単なるうっかりミスによる申告漏れではないケースです。 税務調査があると、その後7年は税務署内の課税実績【税暦表】が残され、どのような内容に問題があったかが記されます。そこに重加算税が課されたかどうかも記されます。重加算税の実績がある法人は、過去に何らかの問題があったわけで、そこが解消されていなければ、当然に現在の申告内容にも不備があると推定されますので、調査対象先として選択される傾向が強まるようです。 

◆  税務調査 ワンポイント その3

第1グループ

基本的に前3年以内の事業年度の申告所得金額が、おおむね過去5年間における、国税局管内の有所得法人一法人当りの平均申告所得金額以上の水準にある青色申告法人

第2グループ

第1グループ、第3グループ以外の法人

第3グループ

不正計算の疑いがある法人

ワンポイントその2と関係するところですが、平成12年事務年度から、税務署では、調査対象法人の選定にあたり、法人を上図のように分類して対応しています。現在でも、この分類のもとに調査が行われていると推測されます。第3グループと分類された法人は、原則として深度のある調査が継続されます。重加算税実績がある法人は、当然第3グループに分類されると推測されます。第1グループに分類される法人は、法人の実態が変化したり、大口・悪質な不正計算が想定されない限りは、実地調査は行なわれないものとされています。なお、第2グループについては、個々の法人により、最も適切かつ効率的な方法で調査を実施するという文言に留まっています。

つまり、第3グループの分類にある限り、調査の頻度は多くなってしまうわけで、第3グループからいかに抜け出すかが、税務調査の頻度を下げるポイントになります。重加算税の対象とならない程度の修正項目で税務調査を終えることができれば、修正項目があったとしても、3年に1度という深度のある税務調査対象からは、外れることができると思われます。

◆  税務調査ワンポイント その4

修正申告をするときは、税務署だけではなく、通常、県税事務所・市税事務所等へも修正申告をすることになります。いわゆる事業税・住民税の修正申告ですが、この地方税の修正申告については、過少申告加算税は課されません。ただし、国税で重加算税が課される場合、事業税についても重加算税が課されます。重加算案件は、事業税にも波及するので極力避けたいところです。 ちなみに重加算案件となると、延滞税も増加してしまいます.税務調査で修正事項がでてしまい、修正申告をした。当然、追加納付する税金に対して延滞税が課されます。本来の申告時に払うべきであった修正分の税額への遅延利息の性格を持つわけですが、実は特例があり、法定申告期限(通常、決算日から2ヵ月後)から1年を経過する日の翌日から、修正申告書を提出した日までの期間の延滞税は免除されます。法定申告期限から修正申告書を 提出するまでの期間中全てにおいて、延滞税が課されるという誤解があるようなので、ここで取り扱いを整理しておきましょう。意外と(?)税務署も優しい一面があるわけです。ただし、重加算税が課される事案については、この免除期間はありません。(税務署的に)悪質とされる修正事項についてまで免除はされないということになります。

◆  税務調査ワンポイント その5

税務調査をしたい、という電話連絡が税務署よりあった。そこで調査の日程が決められます。そこで、調査の日より前に、明らかな経理ミスが発見できた場合には、調査日より前に修正申告書を提出することも賢明な方法です。理由は、調査前の修正申告については、『過少申告加算税』という罰金の対象から外れるためです。この加算税は、修正申告による追加納税額(国税のみ)の10%〜15%となります。具体的な経理ミスのケースとしては、多額の売掛金の計上漏れというのが最もポピュラーになると思われます。決算日の翌月に入金のあった売掛金について、うっかり計上するのを忘れてたというような場合です。このような、調査で明らかに指摘を受けることが確実な論点に気づいた場合は、積極的に修正申告をした方が、加算税の負担がなく、無駄な罰金を払うことがなくなります。自主修正というのも、そういう意味では税負担を少なくする方法の一つです。税務署から調査の 連絡を受けた後で、上記のような経理ミスに気づいたときは、ぜひご相談いただければと思います。

◆  税務調査ワンポイント その6

ワンポイントその4を実践する場合には、当たり前ですが、調査日より前に修正申告手続きを済ませなくてはなりません。調査連絡の日と調査日の間があまりにも短いと、修正申告が間に合わないこともありえます。調査の日程については、『税理士と相談して、折り返し日程の連絡をしますので、候補日を挙げてもらえますか。』と、話しをしていただけると助かります。別に、調査の連絡を受けたその日に日程を決めないといけないわけではありませんので。

落ち着いて、余裕を持って対応ができるように、あくまでもこちら主導で無理のない日程にしましょう。税務署の予定に振り回される必要はありませんよ。

 

文;税理士・社会保険労務士 奥田正名
                        

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