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2015/No.02

今どきの労務、ホントはどうなの?


ヒトを雇用する上で、人事・労務の悩みはつきものです。今回は、問題社員の対処について、法的な視点と実際の運用方法についてまとめてみました。


 

Q1.雪や雨で交通機関がすぐに止まってしまう昨今、同じ距離なのに、A君は遅刻しない(用心して早く出社した)。B君は、いつもの時間に出社したら電車が遅れたので、遅刻し、遅延証明書を提出した。B君は出勤扱いにするべき?

 

A1.交通機関の乱れは不可抗力であり、B君に責任はありませんが、遅刻した時間は控除可能です。労基法では、労働しなかった時間に対して、会社は給与を支払う必要はありません。但し、会社の就業規則に、「公共交通機関の遅延等、やむを得ない事情があって遅刻したときは、その事実を証明する書類を届け出た場合には、出勤扱いとする」というような規定がある場合は、控除することができません。就業規則が法律より有利なときは、就業規則が優先されるからです。これでは、せっかく早く出社したA君は、遅刻したB君と同じ取扱いでは不公平に感じるかもしれません。このような制度を改めたいと思ったら、就業規則を改定する必要があります。具体的には、以下の方法が考えられます。

A 遅刻時間分の控除はするが、人事考課・懲戒の対象にしない

勤務していない時間は遅刻として控除しますが、不可抗力なので、昇給や昇格などに用いる人事考課や懲戒の対象にはしないという方法です。

B 終業時間を遅刻した時間分繰り下げる

遅刻や私用外出等の離脱時間がある場合は、自動的に終業時間を繰り下げるという方法です。

 注)就業規則に「○時以降は、残業とする」という規定がある ⇒ 変更が必要です
        「1日○時間を超える労働を残業とする」   ⇒ Bの措置が可能になります。

 

また、列車遅延による遅刻が多い社員がいる場合は、個別に「あなたの通勤経路は遅れが生じやすいようなので、そのことも見込んで出勤時刻に間に合うようにして下さい」と注意することが必要です。


 

Q2.これができると期待して入社させたのに、実際には能力が足りなかったケースへの対処法を教えてください。

 

A2.能力不足の社員を採用しないに越したことは無いのですが、100%防ぐことは難しいです。しかも、能力不足の社員は、勤怠不良でもなく真面目なタイプが多いのも事実です。無遅刻・無欠勤で人柄も良いのだが、生産性が劣る。このようなタイプが能力不足の社員の典型です。ここでは、困ったときの対処法と予防法をご紹介します。

【1】 社員と一緒に問題を解決する

能力不足の社員を放置することは危険です。同じ量の仕事をこなしていても、Aさんはいつも定時で仕事が終わるが、Bさんはいつも残業している。残業が多いBさんは、残業代が増えるため、結果的に毎月の給与が多くなってしまうという矛盾が生じてしまいます。これでは、効率よく仕事をこなしているAさんは面白く無いでしょう。この不公平感を解消させるために、つぎの策を講じることをオススメします。

 □ 問題点の洗い出し(どの作業の、どの部分で問題が生じているかを明確にする)
 □ 明確な指示(指示をキチンと理解していない可能性もあるので、できる限り噛み砕いて話す)
 □ 一つ一つの業務に期限を設け、タスクを管理する
 □ 自分の持っているノウハウを言語化し、積極的に伝える(短期間で成長が期待できる)
 □ 社員への期待をキチンと伝える(自分の役割を認識し、モチベーション向上に繋がる)


それでも効果が期待できなければ、職務を軽減または降格してそれなりの待遇に引き下げるか、退職勧奨または解雇等で退職させた方が良いでしょう。

【2】 能力を見極めるために、有期労働契約をうまく活用する

とはいえ、能力不足な社員であっても解雇することは非常に困難です。試用期間中でも、能力不足のみを理由とした解雇は、認められないことがほとんどです。そこで、試用期間中の契約を有期労働契約にし、期間満了時に会社が能力不足と判断したら、雇用契約を終了できる制度にすることをオススメします。就業規則に下記の条文を入れておくとよいでしょう。

(労働契約の期間)
  試用期間中は、一の独立した有期労働契約として、最大3ヶ月間の有期労働契約期間(以下「試行雇用期間」という。)を設けることができる。
2 前項の試行雇用期間とは、その職務の適性があるかどうかを判断するために、本採用に先立ち締結する有期労働契約の期間とする。
3 前項の有期労働契約は、更新しないものとし、適性が認められる者のみ本採用し、それ以外の者については、雇用を終了する。

 

【3】能力不足・不適格者を採用しないために

 例えば大企業での管理職経験者が、中小企業で上手く機能するとは限りません。なぜなら、中小企業では指示するヒトよりも、実際に自ら動けるヒトが重要だからです。また、管理職の肩書があっても、実際は残業代削減のための名ばかり管理職だった。実務経験が長くても単なるぶら下がり社員だった場合もあるようです。経歴は参考程度に留めておき、これから一緒に働けるヒトか、動機や人間的資質が自社に合っているヒトなのかを見極めることが大事です。また、面接中に少しでも 違和感を覚えたら採用を見送ることも必要です。第一印象や直感は大抵当たっていることが多いです。


 

Q3.叱っても反応のワルイ(鈍感な)社員へのアドバイス法を教えてください。  「おれの背中を見て仕事を覚えろ」が通用しにくい時代に、どうやって社員の仕事への意識を高めれば良いですか?

 

A3.もともとやる気の無い社員は論外ですが、会社が社員に求める能力レベルが不明確で、どのように行動したら良いかわからなくて行動に移せない可能性もあります。そのような場合に効果的なのが、モデル行動運動の推進です。モデル行動運動とは、自社の想いを込めた「モデル行動(≒行動指針)」を設定し、モデル行動が日常行動として浸透するように仕組み化し、人事評価制度に反映させて社員の育成をUPする方法です。人事評価制度は「公正なる評価に基づく社員のランク付け」ではなく、人事評価制度が「勝てる企業づくり」「利益が上がる企業づくり」「働きがいがある組織作り(≒社員が育つ企業づくり)」に繋がることを目的に捉えることが必要です。ご参考までに、モデル行動(特性)チェックシートをご紹介します。

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Point
◆チェックシートはA3用紙1枚程度に収める(あまりにも項目が多いと社員は疲弊してしまう)
◆項目は、電話の応対、接客態度、プレゼン方法など何でもOK。普段から口を酸っぱくして社員に指導していること、伝えたいことを文章化する。特定の社員だけでなく、社員全員の育成UPにつながる
◆上司の役割は「評価(≒査定)」ではなく、「育成」。社員のモデル行動推進を支援⇒習慣化につなげること
◆定期的かつ多頻度で、「今の状態はモデル行動を実現できているか?」について社員と一緒に確認し合う

 

会社が求めるモデル行動を認識することで、意識の高い社員は、自分のウィークポイントに気づき、自発的に改善するようになります。反対に、意識の低い社員(あるいは会社の理念に合わない社員)は、居心地が悪くなり、自発的に退職していくでしょう。

厳しい言い方をしますが、どんなに叱っても、アドバイスしても改善が見られない社員は、退職してもらうのが一番です。そのような社員を放置することで、他のできる社員も士気が下がり、能力を発揮しなくなります。「仕事ができなくても給与がもらえるのだったら、頑張っているのがバカバカしい」という雰囲気が蔓延してしまうと会社は弱体化します。能力のある人・頑張る人が報われる会社にしないと、会社は強くなりません。

前ページで、能力不足を理由とした解雇は非常に困難と書きましたが、裁判で負けた多くの会社が、「能力不足⇒解雇」で、十分な教育・指導、挽回のチャンスまたは配置転換などを行わずに解雇してしまうため、解雇を回避する努力をしていないとして否認されてしまうのです。反対に、事例2、事例3でご紹介したように、十分に教育・指導を行ったが、それでも改善されなかったという事実が証明された会社は、解雇が認められています。(トムの庭事件 東京地裁 平成21年4月16日、全国給食共同組合連合会事件 東京地裁 平成元年2月20日)。

社員が育つ人事評価制度の導入(見直し)、モデル行動チェックシートを作成する場合は、客観的な視点が必要なため、一人で作成するよりも複数で作成することをオススメします。理由は仕事がデキル社長さん(上司)ほど、ご自身を基準に考えてしまいがちなため、社員にとってはプレッシャーとなり潰れてしまう可能性が高いからです。導入をご検討されるお客様は、私どもでサポートいたしますので、お気軽にお声掛けいただけると嬉しいです。          

文:社会保険労務士 吉田 彩乃

 


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