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2013/No.06

生前贈与による相続税の節税 ~その2


『贈与税のかからない範囲で、贈与をしています。110万円までの贈与なら何も問題はないですよね?』この『110万円以内の贈与』について、誤解をされているケースが多いようです。相続税対策のための贈与だと思っていても、後の税務調査で、『これは、贈与ではなく相続財産だ!』と指摘をされる可能性があるのです。今回は、生前贈与にあたって知っておくべき重要ポイントを整理してみました。

◆ 贈与をしているつもりが、名義預金と認定されたケース

生前贈与について考える前に、知っておくべき重要な判例があります。名古屋地方裁判所の判例(平成2年3月30日、昭和62年(行ウ)第7号)では、生前贈与をした財産にもかかわらず、相続財産として認定されています。この判例では納税者が敗訴しています。

[判例の要旨]
被相続人(父親)は、相続税の課税を回避するため、原告(子)の名義を使って本件定期預金の積立てを開始し、途中友人の税理士である訴外Aの助言を入れて、贈与税がかからないよう、その非課税限度額内で預金を続けたが、その管理、運営及び払戻しについては、すべて自らの判断で行っていたものであり、一方、子はその名義が使用されていたほかは本件定期預金の形成、運営又は使用に関与することはなかったのであって、かかる場合、本件定期預金は被相続人の財産であって、本件相続財産に帰属すると認めるのが相当である。


この判例は、贈与税のかからない範囲での贈与だから問題ないだろうと考えていたのに、贈与ではなく、『子供名義の預金だけど、実質は父親の預金だ。』と認定されたわけです。冒頭の、非課税の範囲での資金移動は何の問題もないというのは、誤った認識だと言えるでしょう。贈与税に限らないことですが、税法の基本的なスタンスは、名義等の形式よりも実態で判断です。相続人と名前が違っている口座にあるお金には、税務署も手が出せないというわけではありません。

◆ 名義預金は、相続税調査でもチェックされる

名義預金とは、文字通り名義と違う人が管理・使用している預金です。親が子どもの将来のために、 子ども名義の預金通帳を作り、そこに自分の資金を移動させる。しかし、子どもは、その通帳の存在 も知らないし、銀行届出印も知らない・・・・。このようなケースは、相続税の税務調査があった際に、名義は違えども親の相続財産と認定されることになります。国税庁発表の統計(平成23事務年度における相続税調査の状況について)でも、申告漏れの相続財産の36.2%が現預金です。税務署は、本人名義の預金口座のチェックだけでなく、本人名義ではないが、実際は本人しか使えない名義預金のチェックもしているのです。ちなみに、金融機関には最低10年の預金履歴の保存義務があるため、最低でも10年分の相続人からの資金移動を税務署は知ることができるようです。弊社でも、相続税の申告を依頼される場合には、過去の預金通帳を確認させていただきます。まとまった金額での預金の引き出しや、相続直前時期の資金移動は、税務調査においてもチェックされる論点です。もちろん、相続人(配偶者や子など)の預金口座も税務署のチェック対象とされることもあります。

◆ では、贈与と認められるためには、何をすれば良いのか?

そもそも、贈与とはどんな状態なのでしょうか。モノでもお金でも無料で渡せば贈与じゃないの?というご意見もいただきます。贈与自体の定義は、民法に記されており、下記となっています。税法も、この民法の概念を借用することになります。(税法自体に、贈与の定義がされていないため。)

民法549条(贈与)
 贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。


つまり、一方的に与えるだけでは成立していないわけで、財産を貰った側が、贈与と認識することでしか成立しないわけです。名義預金は、正に貰った側が認識をしていない状態なので、贈与が成立していないと言えます。言い換えれば、贈与が成立しているという事実を何らかの方法で立証できないと、先の判例のような事態が起きてしまうわけです。贈与税が非課税の範囲だから、好き勝手に資金移動して後はそれっきりという状態は、贈与の体裁を伴っていないわけです。

◆ 贈与の事実を証明するには?

具体的に、贈与の事実をどうやって証明するか?口頭でいくら説明しても、税務署としては、その説明を鵜呑みにはできません。最終的には、贈与があったことを立証できる書面の有無がポイントになります。具体的には、①贈与証書 ②贈与税の申告書 の2点を作成すべきです。もちろん、年間110万円以下の贈与は贈与税の申告義務がないため、①さえ用意すれば、形式的には問題はありませんが、その贈与が、本当に贈与証書に記されている日で行われたかどうかの証拠力が乏しいため、できれば公証人役場にて確定日付印を贈与証書に付与してもらうことを推奨いたします。もちろん、贈与証書には、贈与者(与える人)と受贈者(貰う人)の双方の記載・捺印が必要となります。自署・実印での記載がされていれば尚良しです。

贈与税の申告は、文字通り税務署に贈与があったことを届け出る手続きです。事後の相続税調査で争うことがないように、敢えて贈与税の申告をしておくことは、相続税節税のための生前贈与という観点からは推奨したいところです。非課税である110万円にこだわるのではなく、ほんの少し納税になるようにして、贈与税の申告をしておくことをお勧めいたします。110万1千円の贈与なら、贈与税は僅か100円です。相続税対策費用と考えていただければ割安なコストではないでしょうか。もちろん、①②を揃えた上で、その記載内容通りの贈与(資金移動)を実行してください。贈与の事実と書類の整合性が取れていれば、調査官も納得することでしょう。贈与の意思を示す書類の重要性をご理解いただければ、と思います。

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文;税理士・社会保険労務士 奥田正名


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