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2012/No.12

これは経費で落とせますか?


新規創業される方から多くいただく質問ですが、法人・個人事業者ともに『事業で使うものなら経費(損金)となります。』ビジネスで必要な支出は経費になりますが、ビジネスと無関係な支出(家族との食事のような私的な支出)は、当たり前ですが、経費になりません。さらに、ビジネスで支出するものでも経費とすることに制限があるものや、法人の場合と個人事業の場合では取り扱いの異なる支出もあります。主なものをまとめてみました。

◆  経費にならない支出や一定の制限がある支出にはどんなものがありますか?

①事業主のスーツ・制服の購入費用

法人・個人事業ともに

いわゆるスーツ(背広)は経費になりません。業務外でも自由に使用することができるためです。ユニフォームや制服であれば、経費にできます。社員へのスーツ代は、社員への給与と認定され、源泉所得税が課されます。


②10万円以上の備品等(パソコン・車等のいわゆる減価償却資産)

法人・個人事業者ともに

減価償却の対象となるため、支出時に全額を経費処理することはできません。ただし、30万円未満のものは年額合計で300万円までは全額支出時の経費にできます。(青色申告のみの特例です。)


③接待交際費(事業関係者への接待・慰安・贈答等の費用)

法人・個人事業者ともに(ただし、法人は損金算入額に制限があります)

個人は、交際費の全額が経費として認められますが、法人は年800万円を超える場合には、損金算入に制限が生じます。なお、1人あたり5,000円以下の飲食代に限り、全額損金算入が認められています。外部関係者(取引先等)1名以上との飲食代のみが対象となります。そのため、帳簿や領収書類に『誰と飲食したか』の記載が求められます。


④事業主(代表者)への給与・賞与

法人は 個人事業者は×

法人は、事業年度の途中で月給を変更した場合は増額・減額にかかわらず、当初の金額と変更後の金額の差額は損金になりません【期首から3か月以内の変更でない場合】。賞与については期限までに届出をし、その「届出をした金額」を「届出をした支給日」に支給しなければ、全額が損金になりません。個人事業者への給与は、一切経費となりません。


⑤事業主の同居親族へ支払う給与(専従者給与)

法人は 個人事業者は

法人では、業務内容に見合った金額であれば、経費にできます。ただし、法人の業務に従事している(就業の実態がある)場合に限ります。

個人事業では、青色申告の場合は、税務署に届出をした金額の範囲内で支給した場合のみ経費にできます。白色申告の場合は、事業専従者が配偶者であれば最大86万円、配偶者以外の専従者一人につき最大50万円を利益から控除できます。なお、青色・白色申告ともに、支給した金額にかかわらず「配偶者控除」や「扶養控除」を受けることはできません。


⑥事業主・親族専従者への退職金

法人は 個人事業者は×

法人では、金額に制限はあるものの経費と認められます(業務・役職に見合った適正な退職金額に限ります)。個人事業者では、経費処理は一切認められません。


⑦事業主の社会保険料

法人は 個人事業者は×

役員であっても、従業員と同様に社会保険に加入します。社会保険料は損金となります。個人事業者の場合、従業員を社会保険に加入させることはできますが、個人事業者自身は加入できません。


⑧生命保険料

法人は 個人事業者は

会社を受取人とする一定の保険契約であれば、全額又は一部を法人で経費にできます。個人事業者では、いくら支払っても最大12万円しか所得控除できません。


⑨事業主の住居費

法人は 個人事業者は×

法人名義の住居又は法人が賃貸借契約を結んでいる住居であれば社宅として経費にできます。ただし、家賃の一部は自分で負担する必要があります。社宅とは別に賃貸借契約をしている駐車場は全額自己負担となり、法人の経費にはできません。個人事業の場合は、自宅の一部を事業用としている場合、事業用スペースに限定して経費にすることができます。(住宅ローン控除を受ける場合には、一定の制限がありますので注意が必要です。)


 

◆ 領収書がなければ経費にできませんか?

これもよくいただくご質問です。結論は、『領収書がないことにつきやむを得ない理由』があれば、経費にできます。例えば、乗車券代、自動販売機で購入した物品、祝儀・香典等がこれに当たります。領収書がない場合でも、帳簿に下記4点の記載をお願いいたします。

① 日付    ②金額    ③支払いの相手先    ④支払いの内容


また、領収書さえあればなんでも経費にできるわけではありません。税務調査において内容の真偽をチェックされることがあります。具体的には「事業に関係のない支出ではない。」「架空の領収書ではないか。」等です。支出の内容を裏付けるもの(納品書や購入した物品そのもの)の堤出を求められることもありますので、領収書以外にも、内容の分かる資料も保存しておくことをお勧めします。

文;税理士 高木舞


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