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頑張る会社をもっと強くする!節税ブログ

2017/12/29

税務調査で、こんなことありました。〜その?

お客様の税務調査に立ち会うことも税理士事務所の大切な仕事です。税務調査は嫌なものではありますが、私どもにとっては、お客様の事業内容をより深く知ることができる貴重な機会でもあります。

普段は、書面を頂いて帳簿資料を作成しておりますが、実際の現場では何が行われているのか・・・調査の過程で「そういうことだったのか」と、初めて気づくこともあります。今回からシリーズで、税務調査で調査官は何を調べ、どういう指摘を受けたのかを、取り上げていきたいと思います。

なお、守秘義務の観点から、業種・詳細な指摘事項等のお客様が特定されるような事項は、改変してお伝えさせていただきます。

感覚で決めるのは、キケンです

卸売業のお客様です。流行の激しい季節商品を扱うお客様で、その時期に売れないと来年以降売ることが難しくなる商品です。所謂「流行り物」ですね。売れ残った商品は、価格を下げないともう売れません。そのお客様は過去の経験から感覚的に「○○%減」と決め、在庫に一律適用していました。

さて、税務調査です。調査官は「○○%減」の話を聞き、実際に在庫が売れた実績を、丹念に洗い出し始めました。いつ仕入れたものがいつ売れたかを、伝票で確認していきます。商品番号を追えば、それ程困難な作業ではありません。すると・・・

実際は、お客様の感覚より随分高値で売れている事が分かりました。会社としては高く売れることは喜ばしい事ですが、税務調査の現場では、過剰に評価減していることになってしまいます。そして、すべての在庫に一律適用していたので、影響も大きかったのです。

卸・小売業の皆様。在庫の評価減自体は問題ありませんが、減額率はどのように決めていますか? 評価減が大きいほど、納税額が下がりますが、実態と比較して、どうでしょうか? 昔決めた基準で、今もやっていないでしょうか? 今一度、実態をご確認いただけると幸いです。

弊社としましても、原則として、お客様のご方針を尊重致しますが、評価減の根拠を改めて検証する必要性をお客様に伝えるべき事例だったと反省しております。


後輩君
なるほど、仕入原価1万円のものを実際には5000円で見切り販売した、といったデータを残しておく必要があるのですね。そうすれば評価損を計上して節税ができる。
先輩さん
そう!決算のときに、そのデータが必要なことを早めに伝えるとベターだね。申告期限ぎりぎりで調べてくださいとお願いするのでは、お客様にご迷惑をかけてしまうよ。


調査の顛末

ちなみに、こちらの事例の顛末は「指導(修正申告無し)」になりました。次回の調査までに適切なパーセントに直してね、ということで済みました。在庫は期ズレの論点であること、そして適切なパーセントを決定する作業が煩雑だと判断されたのでしょうか。随分ラッキーでした。現在では、このような事例での修正見送りは考えにくいです(本件は、少し昔の話です)。


後輩君
最近は期ズレの論点にも厳しいですものね。
先輩さん
そう!調査官もアバウトな決着がしづらい時代にはなってきているからね。彼らも上司への書類報告がある分、テキトーにはできない。こちらも調査官が上司に提出できるレベルの根拠を提示できるようにしておこうね。


 

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