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頑張る会社をもっと強くする!節税ブログ

2016/08/14

節税動画28〜個人間の不動産売却での時価って何なのさ?はっきりしてよ。

◆ 親族間での不動産売却は、値決めが重要

 

例えば親子間で不動産の売買をするときに、アドバイスを求められた税理士の大半は、次のようにお話しすると思います。

 

同族親族間の取引なので、時価で売却してくださいね。

そして、この話を聞いて、アドバイスを受けた側は、こう思うでしょう。

・・・時価ってなんやねん?いくらにすればいいか、教えてーな。あなたプロでっしゃろ?

(関西弁なのは気にしないでください。いや、大阪弁なのかしら?どーでもいいですね。)

 

 

個人間で売買するときに注意する点は、みなし贈与という考え方が税務にはあるということです。贈与というと、無償(ゼロ円)でプレゼントすることだと考えがちですが、モノを安く売却したときには、安い売値と時価の差額分、買い手は得をしたことになるので、その差額に贈与税が課されます。

 

親族間で売却をするときは、売却側としては身内に売るのに、高い所得税を払うのは避けたいでしょうから、なるべく低く売却したいというのは本音ではあるでしょう。だけど、後で税務署さんにアレコレ言われたり、追徴課税を受けたくはない・・・。

 

さて、どうするか?という時に次の判例を思い出すと良いでしょう。結論は、土地は路線価で売却してOkということになります。また、借地権があると認められる土地(賃貸マンションが立っている土地など)は、その借地権分の評価減をしてOKです。

 

つまり、個人間の売買は、相続税評価額で売却すれば、課税上の問題は起きないことになります。

 

◆ 東京地方裁判所平成 19年 8月 23日判決(納税者勝訴 確定)

このキーワードで検索すれば、いろんな解説もでてくると思うので、ここではポイントだけを記します。このブログをご覧になる皆様も、そこしか興味ないでしょうし(苦笑)。

 

①土地の売却価格は、路線価による相続税評価額でOk。

➁時価 イコール 公示地価(公示地価≒路線価÷80%) とする必要はない。

③路線価は、そもそも1年間の間で時価が20%程度下落するリスクを織り込んだものである(だから、公示地価の80%ぐらいで設定されている)。つまり路線価の設定自体が『1年間の変動を加味した価格』と言える。

 

路線価で身内に土地を売却すれば、贈与税を課されるリスクはないわけです。そもそも贈与(ゼロ円で売却)のときの贈与税は路線価で計算した価格をベースに計算するわけなので語るほどのことでもないのですが、それぐらい時価という言葉は税理士を迷わせるのです。このブログを書いている私も、年に何回かは悩みます(真面目なヒトほど迷うのですよ!)

 

◆ ただし、低い価格で売っても売却損は通算できません。

買い手は、相続税評価額より低い価格で買った場合は、贈与税の課税があることは仕方ないわけですが、低い価格で売った売り手の課税はどうなるの?というご質問をいただくことがあります。

 

これについていえば、売り手側はいくらで売っても、その売値で申告すれば問題はないです。路線価より低い価格で売却しても売り手に課税は生じません。買い手の贈与税で課税が行われるからです。

 

ただし、低い価格で売却して売却損がでても、他の所得(給与や事業とかの所得)と相殺をすることはできません。売却損は、他の不動産の売却益との相殺のみとなります。低い価格での売却に文句は言わないけど、他の節税に繋がることは認めないよというわけです。

 

なお、これは身内だけの概念ではなく、第三者間の売却であっても理屈上は同じこととなります。

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