ZAIPA BLOG

ザイパブログ

頑張る会社をもっと強くする!節税ブログ

2016/06/12

節税動画16〜相続で取得した株式を現金化するときの特例

◆ 相続で自社株を手に入れても、誰にも売れない

 

中小企業において、自社株式の評価が高いときに相続が起こり、通常は後継者が株式を取得することになります。この場合、相続税を払うわけですが自社株式は売りたくとも誰にも売れません。流通市場がないということも一つですが、もし買ってくれる人がでてきても、おいそれと売るわけにもいきません。株式は会社の支配権であり、外部の第三者が経営に参画(口出しする)することは、安定した会社経営を考えれば外部に株式を流出させることは避けたいところです。

 

◆ 自社株を売っても安心な相手がいます

自社株式を売っても安心な相手として、『自社』があります。株式を自社に売るのです。現金にゆとりのある会社・融資が受けられる体力がある会社であれば、後継者が持っている自社株式を買い取ってもらい、現金化することができます。ただし、自社株式を会社に売るときは、通常頭を悩ます問題があります。

 

自社株式の売却は、税金計算上は配当と同じ効果があるとみなされ、株式売却として扱われず、配当課税を受けることになります。イメージとしては、会社が株主に払うものは株式の当初取得価格(出資額)部分を除き、すべて配当になるわけです。(正確には資本金等を超える額が配当となりますが、今回は気にしなくてOkです)

 

配当課税となると、所得税は累進税率となります。株式評価額の高い会社であれば後継者の役員報酬も相当でしょうし、通常は所得税率は相当高くなります。最低でも30%〜40%ほどの税率になることは必須でしょう(現在の所得税率は、復興特別所得税を含めると最高45.945%です。また住民税も別途10%かかります)

 

ただし、ここで特例が用意されています。相続税の申告書の提出期限の翌日以後3年を経過する日までの間に自社株式を自社に売った場合には、配当課税ではなく譲渡課税とすることができます。これなら所得税率は15.315%(復興特別所得税含む)となります。また、相続税のうち、自社株式に対応する部分の相続税を譲渡(売却)のときの諸経費として売却益から差し引くこともできます。

 

◆ 買い取り原資を生前に用意しておく

とはいえ、会社にお金がないと特例を使うことすらできません。そのために、会社は買い取り資金を用意しなくてはいけません。相続後に用意すると借入をするしかないでしょいが、相続前であれば、会社が生命保険に入ることが一番シンプルで間違いがないプランといえます。相続後の自社株式を買い取る資金として、会社が受取人となる生命保険に加入しておくのは有効な施策といえます。

 

◆ 他に株主がいる場合は注意!

自社株式の売却は、外部に株式は流出しませんが、既存の株主の持ち株比率が上がることは避けられません。他の既存株主が安心できる相手であれば良いですが、それでも、売却後の議決権が3分の2を割ってしまうことは、できる限り避けたいところです。(株式会社の特別決議を1人で実施するには3分の2の株数を保有していることが必須となります)

 

株主が後継者1名だけであれば悩む必要はありませんが、他にいる場合には念のため、売却後の持ち株比率を確認するようにしましょう。

CONTACT

経営のこと、税務のこと、労務のこと、
お気軽にお問い合わせください。