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頑張る会社をもっと強くする!節税ブログ

2015/12/16

役員からの借入金が増えれば、税務調査が来る?

唐突ですが、自社の申告書控がお手元にあれば、を ご覧になってください。 そのなかに、銀行借入金以外に、代表者からの借入金はないですか?

 

なければ、この先は読まなくOKです。逆にあった場合は、この節税ブログにお付き合いいただければ、と思います。 代表者から会社への貸付(代表者→会社 への資金移動)は、税務調査の 呼び水にもなるからです。

 

例えば、下記のような会社があったとしましょう。

 

利益 役員報酬 役員借入金
第1期 100 200
第2期 100 400
第3期 100 600

  

利益は継続して出ていない。そして毎年、役員報酬を上回る短期借入がなされている。 役員報酬は100なのに、借入は200づつ毎年増えている・・・。

 

つまり、社長は給与以上の額を会社へ資金投入し続けていることになりますね。 ここで冷静に考えてみると、100しか会社からもらってないのに、どうして 毎年200を会社へ資金投入できるのでしょう?

稼ぎが100の社長が、200使えるにはどうするか?といえば、答えは次の3つのどれか(若しくは複数)になります。  

 

(1)社長個人に、過去の蓄え(貯金)がある。
(2)社長個人が、誰かから融資若しくは資金贈与を受けている。
(3)会社の売上の一部を申告せずに、代表者がそれを生活費等に充てている(脱税)

 

税務署としては増えていく短期借入金と役員報酬のバランスを見て、 (2)か(3)があるのではないか?との疑問を感じて、税務調査の必要性を 感じるということになります。 (2)であれば、贈与税(相続財産の隠蔽含む)の申告漏れ。(3)であれば 法人税の所得申告漏れになります。 理屈としてはナルホド、と分かっていただけると思います。

 

稼ぐ額(給与) 以上の支出がされているのは不自然だということです。 もちろん、社長個人の通帳の履歴も確認します。税務署は、職権で金融機関に照会をかけることができます。

実際に、税務署へ申告する際に添付する『事業概況書』を見ると、代表者に対する  給与・借入金・貸付金・家賃等の記入欄があります。会社と代表者との間の取引 を、データ分析していることの裏返しです。

 

とはいえ、(1)に該当する方も多いと思います。脱税などしていないが、申告書 の数値だけを見ると、(2)(3)ではないかと推定されてしまう。そして結果と して税務調査に至ってしまうというケースです。もちろん、(1)であれば、やましい ことはなにもないのですが、調査に対応する時間が無駄です。

ですので、資金的に可能であれば決算日で借入金を一旦、 社長へ返済する。若しくは役員報酬を引き下げて、その分役員借入金の返済を増やして借入金残高を前期末より減らしていくことを意識しましょう。 役員借入金が増えていく会社は、役員報酬の設定が高すぎることも往々にしてありえますので、資金的にムリのない金額まで引き下げる ことも検討しましょう。

 

その方が役員報酬への社会保険料負担も減るので、一考の価値アリです。

 

そして、税務調査があっても、調査官からあらぬ誤解を受けないように、資金を 会社へ移動させるときは、預金を経由して、資金の移動が見られても問題のない口座 からなされていることの記録を残しましょう。

 

つまり、会社と社長の資金のやりとりは、預金通帳を見れば一目瞭然の状態にして おくと、調査時に誤解を受けることもないわけです。

短期借入金の増加は、税務調査の引き金になる。会社が赤字であれば税務調査は こない という迷信(?)を信じる前に、自社の短期借入金の増減を把握して、 誤解を受けない形に直していくことをオススメします。

赤字でも税務調査は来ます。当たり前なのですが、来ないと思い 込んでいる方も結構いるみたいなので、改めて書いておきますね。 税務署さんは見るべきところは、ちゃーんと見ています。 イイ仕事しますよ、彼らは(苦笑) 。

だから、私たちは、税務署さんがどういう視点で物事を考えるのかをキチンと知っておく べきですね。

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