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2015/12/13

耐用年数に誤りがあった場合

減価償却費の計算上、耐用年数の決定は最重要ポイントです。

 

耐用年数の決定→償却率の決定→償却限度額の決定 という流れです。

 

最初の耐用年数の決定が間違っていれば、あとの償却限度額の金額に 影響が出ます。 もっとも減価償却は、資産の取得価格を耐用年数期間に配分することなので、期間が経過すれば、いつかは経費にはなるわけで、耐用年数の誤りは 『減価償却費を計上するタイミング』がズレるという結果に過ぎません。

 

イメージとしては耐用年数5年の資産を、誤って6年として減価償却費を 計算した場合には、資産が減価償却として経費(損金)計上するのに1年 遅れるといった感じですね(正確な計算は、ここでは書かないので。ツッコミ は不要です。)

 

とはいえ、経費を早く、多く計上するのは節税の基本ですので、もし耐用年数 に誤りがあり、本当の耐用年数より長い年数で計算していたことに気が付いたら、 どう対応するかをまとめておきます。

 

(1)法人が、新品の減価償却資産の耐用年数を誤った場合

次年度から正しい耐用年数で計算する。 過去の償却費の訂正はできない。

理由は、償却限度額の範囲内の減価償却費で計上することを法人税は 求めているだけなので、間違った耐用年数での限度額<正しい耐用年数での限度額 の状態では、限度額の範囲内での償却費になるからです。

 

(2)個人事業者が、新品の減価償却資産の耐用年数を誤った場合

法人と異なり、過去の償却費を『更正の請求』をすることで訂正することができます。 償却費が増える分、所得税や住民税は還付されます。 これは、所得税法では法人税法に定める『償却限度額内の償却費ならOK』 という考え方がないからです。あくまで正しい耐用年数で計算した額を 経費にするという考え方だからです。

もっとも更正の請求の期間には限界がありますから、無制限にさかのぼれる わけではないことはお忘れなく・・・。平成23年分以後の確定申告については 法定申告期限から5年以内が更正の請求期間の限度です。

 

(3)法人・個人共に中古の減価償却資産の耐用年数を誤った場合

この場合は、耐用年数の変更はできません。中古資産については、いわゆる見積法 または簡便法を使って、耐用年数を決定するわけですが、その決定時期は『事業の用 に供した時期』と決められているからです。 つまり、誤っていようが、それに決めたのは納税者なのだから我慢しなさいという ことになるわけです。

以下の耐用年数通達1−5−1が根拠となります。また、中古資産であっても、取得時に相当の改良・修理を行うときは、新品の耐用年数しか使えないこともありますのでご注意を(1−5−2が根拠です)。買値の半額以上を更に突っ込んだら、新品並みになるでしょ?ということですね。

 

 (中古資産の耐用年数の見積法及び簡便法)
1−5−1 中古資産についての省令第3条第1項第1号に規定する方法(以下「見積法」という。)又は同項第2号に規定する方法(以下 「簡便法」という。)による耐用年数の算定は、その事業の用に供した事業年度において することができるのであるから当該事業年度においてその算定をしなかったときは、 その後の事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当する場合には、当該連結事業年度)    においてはその算定をすることができないことに留意する。

(見積法及び簡便法を適用することができない中古資産)
1−5−2 法人が中古資産を取得した場合において、当該減価償却資産を事業の用に供するに当たって支出した資本的支出の金額が当該減価償却資産の再取得価額の100 分の50に相当する金額を超えるときは、当該減価償却資産については、別表第一、 別表第二、別表第五又は別表第六に定める耐用年数によるものとする。

意外と整理されてない論点だと思ったのでまとめておきます。

 

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